阿部梅吉の日記

梅好きの梅好きによる梅好きのための徒然な日々

箸が使えない

箸が使えない。

 

あ、待ってください。

読むのやめないでください。

 

私の箸さばきは他人とは全く違っているらしい。

その自覚はある。

 

100円均一で

児童用強制箸(2~3歳児対象)を買って特訓しても、なかなか治らない。

 

異性から

先生から

後輩から

先輩から

言われてきて、その度に豆を買い、その豆を皿から皿へ移動してきた。

 

ちなみにこれは成人してからの話である。

 

ここで言いたいことは、単に私が不器用ということではない。

 

一度身についた癖を治すのは、新たに技術を身につけるよりも二倍難しい(気がする)ということだ。

 

 

 

ことばも同じである。

 

 

 

私は昔から、自分のことを社交的な人間とは思えなかった。

 

子供のころ歯の矯正もしていたし、そのことを茶化す同級生もいた。

 

 

もともと口数の少ない子だったが、これにより更に口数は減った。

 

気がする。

 

 

そんな経緯もあって、自分の外見を褒められても素直に喜ぶことはできなかった

(まあ嬉しいことは嬉しいのだが)。

 

 

 

一度でも、自分を

 

あまり社交的とは言えない、

外見もパッとしない人間だ

 

と思い込むと

 

そこから抜け出すことは難しいこともある。

 

 

最近は社交的と呼ばれることが増えた。

 

コミュ力高いよね、とよく言われる。

 

何故はわからない。

 

未だに飲み会では先生の話を聴いているだけだし、

二次会には参加せず

レンタルビデオ店で好きな作品を一人で選んで帰ってしまう。

 

私の何がコミュニケーション強者なのか、全くわからない。

 

私は堺雅人(が演じる役)のように弁がたつわけでもない。

 

何を言っているのかわからない。

 

 

 

先輩曰く、

 

 

だって阿部さん、すぐに周りの人の関係とか見て役割与えてるじゃないですか。

 

と。

 

知らなかった。

 

 

私は知らず知らずのうちに、

 

周りの人間に役割(仕事?)を与え、場が円滑になるように進めてきていたらしい。

 

知らない人や新しく入ってきた人に果敢に話しかける勇気は(私自身は勇気ある行動とは思ってないないが)

人一倍あるよ、

と教えてくれた。

 

たしかに私は、

 

新しく入ってきた人やインターンの子に流れを説明する役目に自然となっていた。

 

自分自身、特に意識していたわけではないが

 

サービス精神は割とある方みたいだ。

 

 

コミュニケーション能力不足と捉えていた今までの自分像が

 

静かに溶けて崩れて行った。

 

 

誰かの言葉が、自分の今までの癖を上塗りしてくれることもある。

 

 

 

 

さて、話は戻るが、

 

箸である。

 

 

毎回意識しているが、手の変な場所に力が入るせいで、

未だ完璧な箸さばきとは言えないかもしれない。

 

しかし、私の努力と

 

後輩5人のアツイ指導と

 

一生ナイフとフォークで過ごせば良いという斬新な助言の数々により、

 

当初よりは大分マシになった。

 

ありがとう。

 

多くは彼らのおかげである。

 

 

そんなわけで私はレストランで、今日もコーンと豆を一粒一粒箸でつまむのである。

 

そんな中

 

ふと、指導してくれた後輩の言葉を思い出した。

 

 

「でもやっぱり、

 

マナーって楽しむためにあるわけですから、過敏になることないですよ。」

 

 

 

 

至言である。