阿部梅吉の日記

梅好きの梅好きによる梅好きのための徒然な日々

『なんとなく、クリスタル』復習

皆さんこんにちは。

活字(※1)と梅(※2)を食べて生きている梅吉(※3)です。


なんとなく、クリスタル』(※4)

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を読んだので感想を書きたいのですが、
うまく語れる自信はありません。

いかんせん
音楽(※5)と東京の地名(※6)とファッションブランド(※7)があまりわからないので、

それらが作中に出てきても、



へ、へえええ…(⌒-⌒; )?



って感じです。




舞台は1980年の東京です。

80年代(※8)って楽しそうで羨ましいんですよね。
梅吉がまだ宇宙の塵芥だったころ(※9)です。

このころを書いた小説(※10)って、どうしてこんなにと面白いのでしょうかねえ。

エネルギーがあるというかなんていうか…。
本当に好きです。読みやすいし。


主人公はモデル(※11)もしている女子大生(※12)で、

バンドマンの彼氏(※13)がいながらも、自分のアイデンティティ(※14)を定められず、

「なんとなーく」光っているような?生活を、感覚のままに送っています。


この小説、この

登場人物が感覚(※15)のままに生きている

というところがかーなーりー重要というか、テーマになっているのですが

いかんせん

このように注(※16)が大量につき、且つそこで作者独特の見解(※17)を挟むという新しい書き方ゆえに、大量の人が混乱し、議論を巻き起こした(※18)作品となったみたいです。


一読して
評価が真っ二つに割れる作品(※19)だなあ、とは思いましたが、
個人的にはこういう作品大好きです。


春樹(※20)が

小説の意義は問題解決ではなく問題提起

といった趣旨のことを言っていたのですが(※21)
まさにそれを具現化した作品とも言えるでしょう。
 

まあ、だからこそ「文藝」の賞(※22)を取ったんですけどね。

当たり前ですけど、
ほとんどの優れた作品にはそういう要素があります。
問題提起の要素。

特にこういう賞を取り、時代の顔となる小説(※23)は、時代や人々の流れや不安、感覚を敏感に読み取って形になったものが多いです。

そこに作者の意図があるか無いかは別にして。


まあ、これに当てはまらないような、かーなーりー衝撃的な例外作品(※24)もあるのですが、
それはまたいつかの機会に書こう(※25)と思います。


この作品は比較的文章が読みやすいし、

(大きな章をとっている作品はほとんどが読みやすいと思います)

普段本を読まない人(※26)にオススメな本です。

でも、少しびっくりしてしまうのかな。


若い子(※27)だとこのスタイルは面食らうだろうし、わからない部分もありそうかな…。

それでも一読する価値(※28)はあると思いますよ!!


それでは、明日も花マル(※29)で〜^ ^
(※30)






(※1)活字:作者は小説でも評論でも新聞でも、とにかく文字が読みたくなる時がある。逆に全く頭に入らない時もある。
(※2):バラ科サクラ属の植物。果実は日干しして塩に漬けると、保存食となる。かなり塩っぱくて美味。
(※3)梅吉:このブログの作者。
(※4)なんとなく、クリスタル田中康夫著 1980
(※5)音楽:この本にはテディ•ペンターグラスやボズ•スキャッグスやマイケル•フランクスやケニー•ランキン、ビリー•ジョエル、ドナ•サマー、ラッシズ、イアン•デュリーなど数多くの音楽が出てくる。
(※6)東京の地名:北国出身の梅吉には到底解説なしにはわからないが、しばしば小説では「読者全員が知っている前提」で語られることが多い。
(※7)ファッションブランドこの本にはボートハウスやらブルックスブラザーズやらシャネルやらサンローランやらラネロッシやらディオールやらが出てくる。さすが主人公はモデル。
(※8)80年代:バブル経済による絶頂期。ニュートラ(神戸的お嬢様スタイル)やハマトラ(横浜発祥トラッドスタイル)が流行。ETやターミネーター、バックトゥザフューチャーが発表された。松田聖子柏原芳恵松本伊代小泉今日子などアイドルが多数活躍。インターネットが誕生。ディズニーランドが開演。女子大生ブーム、丸文字ブーム、正直小説ブームなどが起こる。
(※9)梅吉がまだ宇宙の塵芥だったころ:まだ生まれていないということです
(※10)このころを書いた小説:村上龍村上春樹井上ひさし五木寛之小池真理子林真理子中上健次など。
(※11)モデル:主に雑誌などでポーズを取る人。「この頃はたくさんモデルがいた」と書かれてあります。
(※12)女子大生:東京の人にとってはどの大学に通っているかでイメージが変わるみたいです。
(※13)バンドマン:この本の主人公の彼氏はキーボード奏者。割と稼いでいるみたいです。一口にバンドマンと言ってもいろいろあります。
(※14)アイデンティティあえて訳すならば「自己同一性」。
(※15)感覚:視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚などがある。ここでは心の方向や響き、何に惹かれるかを表す。
(※16)注:このような但し書き。
(※17)作者独特の見解:【無理に本なんて読まなくていい】とか、【SFでは賞を取れないなんていう純文学批評家見たいなことは言わない】といった作者の本音が、「注」に描かれています。
(※18)議論を巻き起こした:【80年代のふわふわした感じをよく捉えている】といった意見や、【注が物語の疾走感や連続感を失くしている】との声も。
(※19)評価が真っ二つに割れる作品:新しいタイプの、影響力の大きい作品は大抵評価が分かれる。
(※20)春樹:ご存知、作家村上春樹(1949〜)。
(※21)小説の意義は問題解決ではなく問題提起:確か【考える人】による。でも記憶はあやふや。1Q84についての春樹自身の見解だったと思うが、梅吉はよく覚えていないので宛てにしないように。
(※22)文藝賞河出書房主催の文学賞の一つ。新人の登竜門。『野ブタを、プロデュース』などは知っている人が多いかと。
(※23)時代の顔となる小説:この物語の他もそう。当時からベストセラーor社会現象になった本。
(※24)例外作品:ファンタジー作品が当たるというのは、文学界では誰も考えられなかったこと。
(※25)いつか書こう:「行けたら行く」と同義。
(※26)普段本を読まない人:大抵の人は本なんて読まなくても生きて行けます。しかし、一部の人にとってはそうではありません。
(※27)若い子遠藤周作も春樹も「最近の若い子のほとんどはつまらない」と文章の中で書いていましたが…。
(※28)一読する価値:本なんて読まなくても生きていける、と田中康夫氏もこの本の注の中で語られていましたよ。
(※29)明日も花マル:このブログの決まり文句。文章の末尾に書かれる。
(※30)^ ^:梅吉が多用する顔文字。無難な顔文字で、何を使っていいのかわからないときにこれを使用することが多い。