阿部梅吉の日記

梅好きの梅好きによる梅好きのための徒然な日々

一家に一冊『戦争と平和』

皆さんこんにちは梅吉です。

いきなりですが皆さんは戦争と平和をご存知ですか?
世界史で習ってるから覚えている、という方もいらっしゃるかもしれませんね。
そう、あのトルストイの超超超大作です!!
あれを超える本はなかなか無いんじゃないかと思います。そんな『戦争と平和』の魅力を伝えたいと思います!

梅吉が世界で一番圧倒された本です。
確か『東京大学で世界文学を学ぶ』(2010 集英社、文庫もあり)で辻原登氏はオススメの本を聞かれたら
「とりあえず『戦争と平和』を読み切りなさい」
と学生たちに言っている、と仰っていて深く納得した覚えがあります。それだけの価値がある本なのです。

物語は大雑把に言うと

舞台は19世紀前半のロシア。
金持ちの息子である主人公ピエールは、絶世の美女だけれど性格はああ残念…って感じの女・エレンと社交界で目立ちたいが故に外見だけで判断して結婚してしまい、当たり前だけれど上手くはいかない。そんな中戦争が始まり、なんやかんやあってロシア対フランスの戦争に人々が巻き込まれてしまう。
親友のが戦死し、自分もその戦争の渦中へと入って行き、そこでもまた新たな人々との出会い、別れ、発見がある。そしてピエールの価値観は変わっていく…

(この戦争とは1811年のいわゆるボロディノの戦い、クトゥーゾフ対ナポレオン。世界史では『ロシア遠征』として習ったという人も多いだろう。結果的にナポレオンはロシアの寒さへの無知ゆえ撤退。クトゥーゾフのファンはだいたいこの本を読んでいるのだと思うが確証はない。)
ってな感じです。だいぶ端折ってますが。

そんな『戦争と平和』ですが、魅力は何より…

  • 圧倒されるほどの丁寧な描写力!
      やはりトルストイの真骨頂というか、  本当にその人が生きているのでは?と思わせる描写力は自分の力のなさを痛感しますよね。
戦争なんか経験してないし社交界なんか見たこともないけれど、読めば情景がありありと浮かんでくるのはトルストイの成せる技です。
私は歴史ニガテーな人も安心して読めます。むしろ梅吉はこの本きっかけで史実を知ったくらいです。
ただ、知っておいた方が戦争の細かな部分までリアルにわかるので、かなり楽しめるとは思います。ナポレオンとロシアは戦争してギリギリ勝った、くらいを抑えれば良いのではないでしょうか。
むしろここでテーマになっているのは「戦争」における人々の情熱や生き方みたいな物だと思うのであまり気にせず。

ただ、「名の日の祝い」(名前に由来する聖人を祝う日)とか
名前がくそ長っっったらしいからロシアでは固有のニックネームがそれぞれにあるとか、
そういう文化的なものは解説が必要かもしれませんね…。
多分岩波の文庫あたりだとちゃんと解説があると思います。持ってないのでわかりませんから自信はありませんが。

大丈夫です、梅吉は名前に関しては中国文学が一番よくわかりません。まず性別の判断もつきません。わかる人はわかるらしいですけど私はサッパリです。
というわけでロシア文学はニックネームの方が重要だったりします。


  • それでいて圧倒的ボリューム
ありありとその場の様子が浮かんでくるトルストイの描写力は圧巻ですが、それでいて分量が凄まじい。
f:id:AbeUmekichi:20150125223839j:plainあれ?普通やん?

と思いきや

f:id:AbeUmekichi:20150125223935j:plain最後は503頁

これが上中下あるわけですから、
全体1500頁強。

ちなみに厚さf:id:AbeUmekichi:20150125224207j:plain

一巻につき2.5センチです。圧巻。

ちなみにこの東海大学出版のやつは一頁で51文字×23行でした。
単純計算で一頁軽く1000文字突破。
1173文字ですって!!!!

それだけじゃないんです。
総登場人物数はなんと559人!!!

ラスボスです。もはや文学界小林幸子と言っても良いでしょう。
…違いますね。ミルさんに怒られたので次行きます。

  • 恋愛要素とか成長要素もあり
前述したとおり、この本では教科書的な「いついつにどこどこで誰が戦争して勝った、負けた」という史実がここでは重要なのではありません。それじゃ本にならないし。
重要なのはそういう歴史に刻まれないであろう人々の思いなのです。
そういう人間模様が良いんですよー。
これがねー…なんてったって『アンナカレーニナ』の作者ですからね。面白くないわけないんですよね。

恋模様も主人公に限らずその親友や後の妻とかまあ色々ありまして。
そこらへんはまあ割愛しますので読んでください。関係図だけ書いても何も面白くないので。

では最後の魅力!!それはズバリ…

  • たとえ読めなくても押し花に出来るし、本を飾っているだけでオシャレインテリアとかになっちゃう!!
はい、来ました。
まあ大半の人は読めないと思うので。ぶっちゃけちゃいました。

全然関係ありませんが、数年前にとっても可愛らしい某有名靴下店に行ったらインテリアとして偽物の本が飾られてまして…
その本の題名をよくよく見ると
WAR AND DEATH みたいな名前でめっちゃ笑い堪えた記憶があります。
どんだけ重いんだよ。
マネキンで可愛くポーズとってるあの女の子たちも実は死について考えているのかと思うと感慨深いです。
店内のポップでキュートな雰囲気とは裏腹にそこだけ戦争と死。何を意味しているのでしょうか。
まあ何も考えてないんだと思いますが。

ていうか…
皆さんもう想像されてると思いますが…

ええ、そうなんですよね。

もうわかってると思いますが…


f:id:AbeUmekichi:20150125230243j:plainご多分に漏れず

押し花、やってます。ええ。白状するとやってます。大半の人の想像通りね。

しかもこの花、キヨミちゃんです。
キヨミはドライフラワーとして第二の人生を歩んでいるのです。
その姿はまさにピエールと同様と言っても良いでしょう。

…こじつけです。


とはいえ、戦争と平和は本当に良い本です。何度読んでも発見があります。本当に。

梅吉はがんばってこの本をまた読もうと思います。

ちょっとしんどいなー、ていうか時間ないなーって方も多いと思うので、
映画やマンガで触れてみるのが良いのかな、と思います。

なんにせよ本当に良い作品です。


ではまた!明日も花マルで!